この本との出会い
まず、この本との出会いは本屋で適当に本を物色していたときのことでした。
表紙絵が自分好みであったことと、『青い桜と千年きつね』というタイトルに心を奪われ購入していました。
表紙とタイトルから感じた第一印象は「千年」と「きつね」という言葉から妖の類の話ではないかと思いました。しかし、考えられるのはそのくらいでそれ以上の推測はできませんでした。
早速読んでみることに
本を開いてみるとはじめのほうのページに登場人物の紹介が書いてありました。話中の人物を覚えるのが苦手な私にとっては非常にありがたいと思いました。しかし、もしかするとこういう人物紹介が余計な人もいるかもしれないので、そういう人は飛ばすことをおすすめします。
物語のはじまりは主人公である男子高校生の古町大吾くんともう一人(一匹?)の主人公で狐の妖怪である青桜きつねちゃんの出会いから始まります。いきなり会うんですねと思ったらいろいろあってきつねちゃんの「ある計画」に大吾は加担する羽目になります。
その計画とは、
神社にある結界破壊しちゃおうZE☆
それがだめなら神社ごと燃やしちゃおうZE☆
それか神主〇しちゃおうZE☆
ていう内容で恐ろしいなこの子と思いました。(軽い感じで書いていますが実際はもっと深刻な話です)
なぜこんな恐ろしい計画を立てたのか、後で真実を知ることになるのですがまじでドラマでしたね。
私の一押し、きつねちゃんの過去編
その後なんやかんやあって、千年きつねのきつねちゃんの遠い遠い過去の話になります。この過去編を読むまで、本の帯に書かれていた「出会った少女が抱えていたのはたった一つの恋だった――」というのがいまいちわからなかったのですが、過去編を読むことでその意味が明らかになりそして泣いてしまいました。
過去編は重い内容になっているのですが、でも、この過去編がないとこの本が成り立たないほど重要だと思います。やっぱり私の中では過去編が一番印象に残りましたし、いろんな気持ちにさせ、考えさせてくれた、そして、この本を面白くさせてくれました。
その過去編の中でも私が特にビビッときた部分がp216~217にありまして、このページは他のページとは明らかに異なっていて衝撃的でした。こんな表現をされると引き込まれずにはいられないなと感じました。
そして、過去編も終わりラストはどうなるのか...
きつねちゃんの恋の行方は...
というところはネタバレになってしまうのでそこは語らずぜひ読んで結末を知っていただければと思います。
さいごに
全体を通してみると言葉での表現が多く詳細なことまで言葉で表しているなという印象でした。なので挿絵が全くないのですが場面を想像しやすかったですし、ページ数と比べてもストーリーの長さは、全く長く感じませんでした。
叙述的な作品なので最後まで読んで初めていろんな話の部分の筋が通っていくのが気持ちよく感じましたし、驚きの部分もあったり楽しかったです。
最後に私が印象に残った言葉を書いて終わりたいと思います。
「誠の意味で、恥ずかしい者は誰だったのか。誠の意味で、不幸な者は誰だったのか。目の前の少女は、傍から見れば不幸に映るのかもしれない。しかし、己の不幸と戦い、痛みを知り、誰かを救おうと力を尽くす少女の「心」は、決して不幸という一言では片づけられないものがあった。」
不幸とは何なのか、また自分は今幸せなのかを考えさせられる言葉でした。
以上で感想を終わります。興味を持たれたらぜひ読んでみてください。